落語
夢の皮算用
2026.09.08
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落語・一席
高座本編
膝小僧:
えー、本日はお日柄もよく、
ぺこりと頭を下げる
このような大勢のお客様の前にて、
お噺をさせて頂けること、
誠に光栄に存じます(笑)」
膝小僧:
わたくしめ、座布団亭膝小僧と申します。
どうぞ、お見知りおきを(笑)」
膝小僧:
さて、皆様。
『夢』というものは、
誠に良いものでございますね(笑)」
膝小僧:
特に、日頃の暮らしを忘れさせてくれるような、
大きな夢、というのは、
格別でございましょう(笑)」
膝小僧:
ええ、そうです。
ちょうど今時分にございますと、
『宝くじ』などというものが、
それに当たるでしょうか(笑)」
膝小僧:
わたくしも一度、
買ってみたことがございまして(笑)」
膝小僧:
極上師匠に『膝小僧、お前も買ったのか?
当たったらどうするんだい?』と、
お尋ね頂きました時に(笑)」
膝小僧:
『師匠の奥方様に、
新しいお着物を…』と申し上げましたら(笑)」
膝小僧:
『お前さんは優しいねぇ、
だが、そういうのはまず、
自分のこと考えるもんだよ』と、
お叱りを受けました(笑)」
膝小僧:
いえ、お叱りというよりは、
お諭しでございましょうか(笑)」
膝小僧:
まことに、わたくしなどには、
身に余るお言葉でございました(笑)」
膝小僧:
しかし、そうですね。
もし、本当に当たったとしたら、
人間というものは、
どうなるものでしょうか(笑)」
膝小僧:
本日はそんな、
『捕らぬ狸の皮算用』を、
一席お聴かせ願おうかと(笑)」
パン!と一つ手を打つ
膝小僧:
あれはとある長屋でのことでございます(笑)
膝小僧:
八つぁんと熊さん、
いつものように長屋の縁側で、
だらだらと過ごしておりました(笑)」
膝小僧:
そこへ、熊さんが、
一枚の紙切れをひらひらとさせながら、
やってまいります(笑)」
膝小僧:
おい、八つぁん、見ろよこれ!」(驚)
膝小僧:
おう、熊さん、なんだいそりゃあ?
ひらひらさせちゃって」(笑)
膝小僧:
これ、年末ジャンボだ!
わしが清水の舞台から飛び降りるつもりで、
奮発して買ってきたんだ!」(得意げ)
膝小僧:
へえ、宝くじかい。
あんたも物好きだねえ。
どうせ当たらねえのに」(呆)
膝小僧:
バカ言え!当たるかもしれねえだろ!
夢ってやつだよ、夢!」(怒)
膝小僧:
ま、夢を見るのはタダだからねえ。
で、もし当たったらどうするんだい?」(興味津々)
膝小僧:
そりゃあ…
まずは、うまい酒と肴だな!
銭湯の帰りにな、
桶いっぱいに酒を汲んで、
カツオの刺身を山盛りだ!」(嬉)
膝小僧:
そりゃいいな!
俺も混ぜてくれよ、熊さん!」(涎)
膝小僧:
おう、八つぁんも食うかい?
じゃあ、特別に、
カツオは二切れにしてやるよ!」(気前よく)
膝小僧:
二切れかい!ケチくせえな!
当たったらもっと食えるだろ!」(不満)
膝小僧:
うるせえな!まだ当たってねえだろうが!」(怒)
シーンと静まり返る
膝小僧:
…ま、まあ、そうだな。
で、もっと大金が当たったらどうするんだい?」(改めて)
膝小僧:
大金かあ…
そりゃあ、この長屋を出て、
広い家に住むかなあ」(夢見心地)
膝小僧:
おお!いいな!
俺も一緒に住まわせてくれよ!」(期待)
膝小僧:
んー、お前はちょっと考えとくわ」(曖昧)
膝小僧:
なんだよ、熊さん!
さっきは二切れくれてやるって、
威勢が良かったじゃねえか!」(不満)
膝小僧:
いや、それは、
当たる前の話だろ?
当たってからじゃ、
話は別ってモンだ」(すまし顔)
膝小僧:
ひどいな、熊さん!
昔からの付き合いだろ!」(悲)
膝小僧:
昔の付き合いだからこそ、
金の切れ目が縁の切れ目って言うんだ」(冷静)
膝小僧:
なんだと!この金の亡者が!」(怒)
膝小僧:
うるせえ!俺はまだ金の亡者じゃねえ!
まだ当たってねえ!」(怒鳴る)
二人が顔を突き合わせて睨み合う
膝小僧:
…で、もし本当に、
数億円当たったらどうするんだい?」(小声で)
膝小僧:
数億円かあ…
そりゃあ、もう、
働かなくていいな」(うっとり)
膝小僧:
そりゃそうだ!
じゃあ、二人で世界一周旅行でもするか!」(興奮)
膝小僧:
世界一周…
いや、わしは船酔いが酷いから、
やめとくわ」(冷静)
膝小僧:
なんだよ!夢がねえな!
じゃあ、俺一人で行くから、
旅費を出してくれよ!」(図々しく)
膝小僧:
なんで俺が、
お前の旅費なんか出さなきゃならねえんだ!」(怒)
膝小僧:
だって、当たったら、
世のため人のためって言うだろ!」(開き直り)
膝小僧:
世のため人のためは、
まず自分のためだ!」(持論)
膝小僧:
ケチ!金の亡者!」(叫ぶ)
膝小僧:
うるせえ!
お前なんかに貸す金はねえ!
いや、当たる予定の金はねえ!」(怒鳴る)
膝小僧:
なんだと!
俺はもうお前とは絶交だ!」(ぷいと顔をそむける)
膝小僧:
上等だよ!
お前なんかと付き合ってたら、
金がいくらあっても足りねえわ!」(腕を組む)
二人が互いに背を向け、黙り込む
膝小僧:
…で、その宝くじ、
番号はいくつだい?」(恐る恐る)
膝小僧:
ああ、それならさっき、
ラジオで発表してたよ」(平然と)
膝小僧:
なんだって!
お前、先に見てたのかい!
それで当たってたんなら、
俺に黙ってたってのか!」(激怒)
膝小僧:
いや、違うって!
当たってねえよ、当たってねえ!」(慌てて)
膝小僧:
なんだと!じゃあ、
何で俺に言わなかったんだよ!」(詰め寄る)
膝小僧:
だって、
どうせ当たってねえから、
言っても仕方ねえだろ!」(逆ギレ)
膝小僧:
ふざけんな!
当たってないなら当たってないで、
先に言えよ!
俺たちの夢を、
散々膨らませておいてよ!」(泣きそう)
膝小僧:
夢は膨らんだ方が、
楽しいだろうが!
なあ、八つぁん、
また来年買おうな!」(笑顔)
膝小僧:
…もういいよ、熊さん。
俺はもう、夢を見るのに疲れたよ」(ぐったり)
八つぁん、がっくりと肩を落とす
膝小僧:
ええ、まことに、
捕らぬ狸の皮算用、
というのは、
疲れるものでございますね(笑)」
膝小僧:
しかし、夢を見ている間は、
少しばかり、
現実を忘れられると申しますか(笑)」
膝小僧:
ま、わたくしめは、
また来年も買ってみようかと、
思っておりますが(笑)」
膝小僧:
皆様も、
ほどほどに夢を見て、
楽しくお過ごしくださいませ(笑)」
膝小僧:
お後がよろしいようで(笑)
🎯 このコーナーの狙い
このコーナーでは、人間の根源的な欲求である「もしも」の妄想をテーマに、その滑稽さと哀愁を描き出すことで、聴衆に共感と笑いを届けます。古典落語の「時そば」や「寿限無」に見られる日常会話から生まれるユーモアや、「目黒のさんま」のような庶民の夢といった要素を現代に落とし込み、「捕らぬ狸の皮算用」という普遍的なテーマを膝小僧流に解釈し、新たな笑いの形を追求する実験的な試みです。
※ 本コンテンツはエンターテインメントおよび研究を目的とした創作台本です。実在の人物・団体とは関係ありません。
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