落語

スマホの藻屑と消えぬ伝言

2026.06.08 閲覧数: 2,162
編集長コメント:演じ方のコツ
EDITOR'S NOTE

このネタは「間」の取り方とセリフの抑揚が特に重要な構成です。声に出してテンポを合わせ、ボケとツッコミの呼吸を意識して演じることで爆笑を生み出せます。

落語・一席
高座本編
伝言: えー、皆様、本日はようこそお運びくださいました(笑)
伝言: わたくし九官亭伝言、七番弟子でございます(笑)
伝言: 師匠の真似左衛門からは、いつも早口で(笑)
伝言: 情報詰め込みすぎだ!と(笑)
伝言: 言われておりますが、これも時代の流れでございましてね(笑)
パン!と手を叩く音
伝言: さて、最近の世の中、皆様もご存知の通り(笑)
伝言: スマホ、スマホ、どこもかしこもスマホでございます(笑)
伝言: 便利になったのは結構なことでございますがね(笑)
伝言: 行き過ぎると、どうもこう、おかしなことに(笑)
伝言: なってまいるようでございまして(笑)
軽く咳払い
伝言: とあるお宅での、夕食時のことでございます(笑)
伝言: 一家団欒、賑やかな食卓…のはずがね(笑)
箸が茶碗に当たるカチャカチャという音
ポリポリと何かを食べる音
伝言: お父さん、スマホを片手にニュースをスクロール(笑)
伝言: お母さんは、セール情報に夢中でございます(笑)
伝言: 息子はゲーム、娘は友達とのやり取り(笑)
ピコン、ピコンとスマホの通知音
伝言: まぁ、よくある光景でございましょう?(笑)
伝言: 『ねえ、お父さん、これ美味しいね』(笑)
伝言: と、お母さんが声をかけると(笑)
伝言: ん? ああ、そうだな(笑)
伝言: 目線はスマホから離れません(笑)
シーンと静まり返る
麺をすする音
伝言: 誰も会話をしないんですよ(驚)
伝言: まるで、みんなで黙々と修行してるみたいにね(笑)
伝言: 息子がふと顔を上げ(驚)
伝言: あ、これ、何て読むの?(困)
伝言: と、スマホの画面を指さしますと(笑)
伝言: ちょっと、ご飯中にスマホはやめなさい!(怒)
伝言: と、自分もスマホをいじりながら言うんですから(笑)
伝言: 筋が通りませんわな(笑)
ため息
伝言: さて、そんなスマホ漬けの毎日を送っていますと(笑)
伝言: どうも困ったことが起きるようでしてね(笑)
伝言: ある日、お父さんが会社で企画書を書いていたんです(笑)
キーボードを叩く音
伝言: ところが、ふと立ち止まってしまって(困)
伝言: あれ…この漢字、どう書くんだっけ?(困)
伝言: 『曖昧模糊(あいまいもこ)』の『模糊』ですよ(笑)
伝言: 普段は変換でポン!と出てくるもんですから(笑)
伝言: いざ書こうとすると、手が止まってしまう(驚)
ペンをカツンと置く音
伝言: 隣の席の同僚に聞こうにも(笑)
伝言: みんなスマホで調べてるもんですから(笑)
伝言: 誰も書けないんですな、これがまた(笑)
ザワザワと周囲が騒がしくなる
伝言: 結局、スマホで調べて事なきを得たものの(笑)
伝言: 『いかん、これではいかん!』と(焦)
伝言: お父さん、決意を新たにしたそうでございます(笑)
数日後
伝言: 役所に提出する書類があったんです(笑)
伝言: 手書きの書類でね、これがまた厄介で(困)
伝言: 住所氏名、連絡先…と書き進めて(笑)
伝言: 『現住所の最寄りの駅名』の欄ですよ(笑)
伝言: お父さん、ペンを持ったまま固まって(驚)
カリカリとペン先が紙を引っ掻く音
伝言: あれ? うちの最寄りの駅って…(困)
伝言: 普段は地図アプリで目的地まで誘導してもらってますから(笑)
伝言: 駅名も漢字も、すっかり頭から抜け落ちて(驚)
伝言: 焦る焦る(焦)
伝言: えーと…たしか…『高田馬場』だったかな?(困)
伝言: いや、それは学生時代だ!とね(笑)
頭を抱える音
伝言: その場でスマホを取り出し、調べようとすると(驚)
伝言: お客様、ここでのスマホのご利用はご遠慮ください(注意)
伝言: と、職員さんに注意されて(焦)
伝言: 結局、家まで戻って調べ直したそうでございます(笑)
伝言: 情けない話でしょ?(笑)
クスクスと笑い声
伝言: まあ、漢字が書けない、場所が分からない(困)
伝言: これくらいなら、まだ笑い話で済むんですがね(笑)
伝言: ある日、おばあちゃんが孫の誕生日プレゼントに(笑)
伝言: 『最新のタブレット端末』を欲しがっていると聞きまして(驚)
伝言: お父さんが家電量販店に行ったんです(笑)
ガヤガヤとした店内のざわめき
伝言: 店員さんに『タブレット端末はどこですか?』(笑)
伝言: と聞けばいいものを(笑)
伝言: スマホで『タブレット』と検索して(笑)
伝言: その検索結果を店員さんに見せるんです(笑)
伝言: あ、タブレットですね! こちらへどうぞ(笑)
伝言: って、いや、口で言えよ! と(笑)
ドッと笑い
伝言: さらに困ったことに(笑)
伝言: お父さん、帰りの電車でスマホの充電が切れてしまって(驚)
伝言: 途方に暮れてしまったんですな(困)
ジー、とスマホが切れる音
伝言: うわぁ…どうしよう…(焦)
伝言: 乗り換え案内も、地図アプリも使えません(泣)
伝言: 自宅の最寄りの駅名も、漢字も曖昧なもんですから(困)
伝言: 駅員さんに聞くにも、うまく伝えられない(泣)
伝言: えーと、あの…なんか…ひらがなで『えき』って書くような…(泣)
伝言: 駅員さんも困惑するばかりでございます(困)
ガタンゴトンと電車の揺れる音
駅の構内アナウンス
伝言: 結局、公衆電話を探して(驚)
伝言: 奥さんに電話しようとしたんですが(笑)
伝言: 奥さんの電話番号が、スマホにしか入ってない!(驚)
伝言: もう、パニックでございますよ(焦)
伝言: ああああ…! 伝言…! 誰かに伝言頼むしかない!(泣)
伝言: いや、あの、わたくし伝言でございますが(笑)
伝言: そう、伝言の伝言でございます(笑)
伝言: 本来の伝言の、重要性を忘れちゃいけませんね(笑)
伝言: ああ、恐ろしや、スマホ中毒!(笑)
パン!と手を叩く音
伝言: お粗末様でございました(笑)

🎯 このコーナーの狙い

この演目の狙いは、現代社会に深く浸透したスマホ依存が引き起こす、日常のささやかな、しかし普遍的な「困惑」や「滑稽さ」を浮き彫りにすることです。古典落語の「時そば」や「寿限無」が日常の習慣や知識のあり方を描くように、本作では「スマホがあるからこそ起きる」現代版の“間抜け”な状況を、共感を呼ぶ笑いとして提供します。特に「漢字が書けない」「情報がなければ行動できない」といった現代特有の知識の空洞化をテーマに、観客自身の経験と重ね合わせることで、より深い笑いと、少しの警鐘を促すことを目指しています。

※ 本コンテンツはエンターテインメントおよび研究を目的とした創作台本です。実在の人物・団体とは関係ありません。

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