落語
新作『目黒のさんま ~知ったかぶりの川~』
2026.05.08
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落語・一席
高座本編
手拭:
えー、皆様、お暑うございますねぇ。(笑)
扇子をパタパタと仰ぐ
手拭:
本日はお日柄もよく、こうして高座に上がらせていただきまして、(笑)
手拭:
誠にありがたき幸せにございます。(笑)
手拭:
座布団亭の四番弟子、手拭と申します。どうぞ、お見知りおきを。(笑)
深々と頭を下げる
手拭:
さてさて、皆様、秋といえば何を思い浮かべますか?(笑)
手拭:
ええ、そうでございますね。食欲の秋。(笑)
手拭:
わたくしはですねぇ、やっぱりさんまでございますな!(笑)
手拭:
あの香ばしい匂い、ジュワッと脂が乗って、もうたまらない。(笑)
手拭:
さんまといえば、落語にもございますな。『目黒のさんま』。(笑)
手拭:
これはもう、古典中の古典。皆様ご存知のお噺でございましょう。(笑)
手拭:
殿様が鷹狩りの途中、腹を減らして、初めて食べたさんまの美味さに感動する、と。(笑)
手拭:
最後に『さんまは目黒に限る』と仰る、というお噺。(笑)
手拭:
えぇ、えぇ。なるほどなるほど。(笑)
手拭:
ところがですねぇ、最近では色々と、新しい解釈が出てくるようでして。(笑)
手拭:
例えば、ある方がこう仰るんですな。(笑)
隣の客に話しかけるような仕草
手拭:
いやぁ、手拭さん、その『目黒のさんま』って噺。(驚)
手拭:
ちょっと違うんじゃないですかね?(笑)
手拭:
へぇ、何がでございますか?(驚)
手拭:
だって、目黒って、海ないじゃないですか。(笑)
手拭:
ええ、まぁ、確かにそうでございますな。(笑)
手拭:
なのに、なんで『目黒のさんま』なんて言うんです?(怒)
手拭:
あれはね、手拭さん。(笑)
手拭:
あの目黒の、駅の近くでね、毎年やってる。(笑)
手拭:
『さんま祭り』のことですよ。(笑)
得意げに鼻を鳴らす
手拭:
ほうほう、さんま祭り。(笑)
手拭:
そう!そこで振る舞われるさんまが、もう格別に美味いと。(笑)
手拭:
だから、殿様が食べたのも、きっとその『目黒のさんま祭り』でね。(笑)
手拭:
出されたさんまを、どこぞの料理人がね。(笑)
手拭:
こっそり持ってきたんですよ。(笑)
手拭:
はぁ、なるほどなるほど。(笑)
感心したように頷く
手拭:
殿様が『さんまは目黒に限る』って言ったのも。(笑)
手拭:
そういうことなんです!(笑)
手拭:
祭りのさんまだから美味い!ってね。(笑)
腕を組み、満足げな表情
手拭:
いやぁ、Aさん、勉強になりますな。(笑)
手拭:
で、その『目黒のさんま祭り』で、殿様がさんまを召し上がるんですが。(笑)
手拭:
これがまた、大変な騒動になりましてねぇ。(笑)
パン!と手を叩く音
手拭:
さて、ご存知、江戸の殿様でございます。(笑)
手拭:
普段は鯛だのヒラメだの、高級な魚ばかり召し上がっておる。(笑)
手拭:
さんまなんて、その辺の庶民が食う『下魚』だと、そう思っておった。(笑)
手拭:
ある日のこと、鷹狩りに出かけた殿様が、目黒のあたりで腹を減らしてな。(笑)
手拭:
たまたま立ち寄った茶屋で、さんまの焼ける匂いを嗅いだんだ。(笑)
手拭:
すると、いつもは澄ましている殿様が、その匂いに誘われてな。(笑)
手拭:
なんじゃ、この香ばしい匂いは!(驚)
殿様が鼻をくんくんさせる仕草
手拭:
で、出されたのが、煙で真っ黒になった、炭火焼のさんまよ。(笑)
手拭:
殿様は、こんな骨だらけで、焦げ付いた魚なんて見たこともない。(驚)
手拭:
これは一体、なんという魚じゃ?真っ黒ではないか!(怒)
手拭:
と、おっしゃった。(笑)
手拭:
しかしな、空腹には勝てぬ。(笑)
手拭:
一口、箸でつまんで、お召し上がりになったと。(笑)
ゴクリと唾を飲む音
手拭:
するとどうだ!(驚)
手拭:
う、うまいっ!これは、なんという美味さじゃ!(驚)
手拭:
脂が口いっぱいに広がり、香ばしさが鼻腔を抜ける!(驚)
手拭:
今まで食した魚の中で、これほどのものは…!(驚)
手拭:
この魚は、なんという名じゃ!どこで獲れるのじゃ!(興奮)
手拭:
と、お喜びになった。(笑)
手拭:
で、この話を聞いた、とある家臣が、また知ったかぶりを発動させましてねぇ。(笑)
ニヤリと笑う
手拭:
殿!まことに恐れながら申し上げます。(笑)
手拭:
あの魚は『さんま』と申しまして。(笑)
手拭:
目黒の、そう、目黒の川でしか獲れない。(笑)
手拭:
幻の魚でございます!(笑)
手拭:
ほう!目黒の川でしか獲れぬと?!(驚)
手拭:
さようでございます!特に目黒の川の、深い場所で泳ぐさんまは格別で!(笑)
手拭:
脂の乗りも違いますし、身も締まっておりまして。(笑)
手拭:
まさに、殿様にふさわしい逸品!(笑)
得意げに胸を張る
手拭:
なるほど!目黒の川か!(笑)
手拭:
それで、あの美味さか!(笑)
手拭:
うむ、わかった!これからは、さんまといえば。(笑)
手拭:
目黒の川で獲れたものを用意せよ!(命令)
手拭:
ははっ!かしこまりました!(笑)
深々と頭を下げる
手拭:
と、まぁ、こんな具合でございます。(笑)
手拭:
えぇ、殿様は、すっかり目黒の川にさんまがいると。(笑)
手拭:
そう思い込んでしまわれた。(笑)
手拭:
で、後日、お城でさんまを所望された時に、家臣たちは大慌て。(汗)
慌てる様子
手拭:
殿様がさんまを所望されたと?!(驚)
手拭:
しかも、目黒の川のさんまだと?!(驚)
手拭:
目黒に川はあるが、さんまは泳いでおらんぞ!(困)
手拭:
そりゃそうでございますな。(笑)
手拭:
さんまは海で獲れる魚でございますから。(笑)
手拭:
しかし、あの家臣Aは、またもや知ったかぶりを発動させまして。(笑)
ニヤリと笑う
手拭:
ご安心めされよ!殿には、こう申し上げれば良いのです!(笑)
手拭:
『目黒の川のさんまは、季節によって、大変気まぐれでございまして。(笑)』
手拭:
『今は深海に潜り、なかなか姿を現しません!(笑)』と!(笑)
手拭:
そうすれば、殿も納得されるでしょう!(笑)
自信満々に頷く
手拭:
いやぁ、とんだ知ったかぶりでございますな。(笑)
手拭:
で、結局、日本橋の魚河岸からさんまを仕入れてきて。(笑)
手拭:
『目黒の川のさんま』と偽って、殿様に出したそうでございます。(笑)
苦笑い
手拭:
しかし、殿様は、そのさんまを一口食べると、こう仰いました。(驚)
手拭:
うむ…このさんま、確かに美味い!(笑)
手拭:
しかし、前に目黒で食したさんまには、及ばぬのう。(物足りなげ)
手拭:
やはり、さんまは…
間を取る
手拭:
目黒の川に限る!(笑)
パン!と手を叩く音
手拭:
と、まぁ、相変わらずでございますな。(笑)
手拭:
いやぁ、知ったかぶりも、ここまでくると、一つの芸でございますな。(笑)
手拭:
えぇ、えぇ。でございますから、皆様も、どうかお気をつけくださいませ。(笑)
手拭:
知ったかぶりは、時に人を惑わせ、そして笑いを誘う。(笑)
手拭:
でも、やっぱり、美味しいさんまは、どこで食べても美味しいもんでございますな。(笑)
手拭:
お後がよろしいようで。(笑)
深々と頭を下げる
拍手喝采
🎯 このコーナーの狙い
古典落語『目黒のさんま』の普遍的な面白さを踏まえつつ、現代の「目黒のさんま祭り」という要素を「知ったかぶり」の材料として織り交ぜることで、時代を超えた新たな笑いを創出します。人間が陥りやすい「知ったかぶり」というテーマを滑稽に描き、聴衆に共感と笑いを誘うことを狙います。古典落語の魅力を現代の視点で再構築し、幅広い層にアピールする実験的な試みです。
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