落語

新作『目黒のさんま ~知ったかぶりの川~』

2026.05.08 閲覧数: 775
編集長コメント:演じ方のコツ
EDITOR'S NOTE

このネタは「間」の取り方とセリフの抑揚が特に重要な構成です。声に出してテンポを合わせ、ボケとツッコミの呼吸を意識して演じることで爆笑を生み出せます。

落語・一席
高座本編
手拭: えー、皆様、お暑うございますねぇ。(笑)
扇子をパタパタと仰ぐ
手拭: 本日はお日柄もよく、こうして高座に上がらせていただきまして、(笑)
手拭: 誠にありがたき幸せにございます。(笑)
手拭: 座布団亭の四番弟子、手拭と申します。どうぞ、お見知りおきを。(笑)
深々と頭を下げる
手拭: さてさて、皆様、秋といえば何を思い浮かべますか?(笑)
手拭: ええ、そうでございますね。食欲の秋。(笑)
手拭: わたくしはですねぇ、やっぱりさんまでございますな!(笑)
手拭: あの香ばしい匂い、ジュワッと脂が乗って、もうたまらない。(笑)
手拭: さんまといえば、落語にもございますな。『目黒のさんま』。(笑)
手拭: これはもう、古典中の古典。皆様ご存知のお噺でございましょう。(笑)
手拭: 殿様が鷹狩りの途中、腹を減らして、初めて食べたさんまの美味さに感動する、と。(笑)
手拭: 最後に『さんまは目黒に限る』と仰る、というお噺。(笑)
手拭: えぇ、えぇ。なるほどなるほど。(笑)
手拭: ところがですねぇ、最近では色々と、新しい解釈が出てくるようでして。(笑)
手拭: 例えば、ある方がこう仰るんですな。(笑)
隣の客に話しかけるような仕草
手拭: いやぁ、手拭さん、その『目黒のさんま』って噺。(驚)
手拭: ちょっと違うんじゃないですかね?(笑)
手拭: へぇ、何がでございますか?(驚)
手拭: だって、目黒って、海ないじゃないですか。(笑)
手拭: ええ、まぁ、確かにそうでございますな。(笑)
手拭: なのに、なんで『目黒のさんま』なんて言うんです?(怒)
手拭: あれはね、手拭さん。(笑)
手拭: あの目黒の、駅の近くでね、毎年やってる。(笑)
手拭: 『さんま祭り』のことですよ。(笑)
得意げに鼻を鳴らす
手拭: ほうほう、さんま祭り。(笑)
手拭: そう!そこで振る舞われるさんまが、もう格別に美味いと。(笑)
手拭: だから、殿様が食べたのも、きっとその『目黒のさんま祭り』でね。(笑)
手拭: 出されたさんまを、どこぞの料理人がね。(笑)
手拭: こっそり持ってきたんですよ。(笑)
手拭: はぁ、なるほどなるほど。(笑)
感心したように頷く
手拭: 殿様が『さんまは目黒に限る』って言ったのも。(笑)
手拭: そういうことなんです!(笑)
手拭: 祭りのさんまだから美味い!ってね。(笑)
腕を組み、満足げな表情
手拭: いやぁ、Aさん、勉強になりますな。(笑)
手拭: で、その『目黒のさんま祭り』で、殿様がさんまを召し上がるんですが。(笑)
手拭: これがまた、大変な騒動になりましてねぇ。(笑)
パン!と手を叩く音
手拭: さて、ご存知、江戸の殿様でございます。(笑)
手拭: 普段は鯛だのヒラメだの、高級な魚ばかり召し上がっておる。(笑)
手拭: さんまなんて、その辺の庶民が食う『下魚』だと、そう思っておった。(笑)
手拭: ある日のこと、鷹狩りに出かけた殿様が、目黒のあたりで腹を減らしてな。(笑)
手拭: たまたま立ち寄った茶屋で、さんまの焼ける匂いを嗅いだんだ。(笑)
手拭: すると、いつもは澄ましている殿様が、その匂いに誘われてな。(笑)
手拭: なんじゃ、この香ばしい匂いは!(驚)
殿様が鼻をくんくんさせる仕草
手拭: で、出されたのが、煙で真っ黒になった、炭火焼のさんまよ。(笑)
手拭: 殿様は、こんな骨だらけで、焦げ付いた魚なんて見たこともない。(驚)
手拭: これは一体、なんという魚じゃ?真っ黒ではないか!(怒)
手拭: と、おっしゃった。(笑)
手拭: しかしな、空腹には勝てぬ。(笑)
手拭: 一口、箸でつまんで、お召し上がりになったと。(笑)
ゴクリと唾を飲む音
手拭: するとどうだ!(驚)
手拭: う、うまいっ!これは、なんという美味さじゃ!(驚)
手拭: 脂が口いっぱいに広がり、香ばしさが鼻腔を抜ける!(驚)
手拭: 今まで食した魚の中で、これほどのものは…!(驚)
手拭: この魚は、なんという名じゃ!どこで獲れるのじゃ!(興奮)
手拭: と、お喜びになった。(笑)
手拭: で、この話を聞いた、とある家臣が、また知ったかぶりを発動させましてねぇ。(笑)
ニヤリと笑う
手拭: 殿!まことに恐れながら申し上げます。(笑)
手拭: あの魚は『さんま』と申しまして。(笑)
手拭: 目黒の、そう、目黒の川でしか獲れない。(笑)
手拭: 幻の魚でございます!(笑)
手拭: ほう!目黒の川でしか獲れぬと?!(驚)
手拭: さようでございます!特に目黒の川の、深い場所で泳ぐさんまは格別で!(笑)
手拭: 脂の乗りも違いますし、身も締まっておりまして。(笑)
手拭: まさに、殿様にふさわしい逸品!(笑)
得意げに胸を張る
手拭: なるほど!目黒の川か!(笑)
手拭: それで、あの美味さか!(笑)
手拭: うむ、わかった!これからは、さんまといえば。(笑)
手拭: 目黒の川で獲れたものを用意せよ!(命令)
手拭: ははっ!かしこまりました!(笑)
深々と頭を下げる
手拭: と、まぁ、こんな具合でございます。(笑)
手拭: えぇ、殿様は、すっかり目黒の川にさんまがいると。(笑)
手拭: そう思い込んでしまわれた。(笑)
手拭: で、後日、お城でさんまを所望された時に、家臣たちは大慌て。(汗)
慌てる様子
手拭: 殿様がさんまを所望されたと?!(驚)
手拭: しかも、目黒の川のさんまだと?!(驚)
手拭: 目黒に川はあるが、さんまは泳いでおらんぞ!(困)
手拭: そりゃそうでございますな。(笑)
手拭: さんまは海で獲れる魚でございますから。(笑)
手拭: しかし、あの家臣Aは、またもや知ったかぶりを発動させまして。(笑)
ニヤリと笑う
手拭: ご安心めされよ!殿には、こう申し上げれば良いのです!(笑)
手拭: 『目黒の川のさんまは、季節によって、大変気まぐれでございまして。(笑)』
手拭: 『今は深海に潜り、なかなか姿を現しません!(笑)』と!(笑)
手拭: そうすれば、殿も納得されるでしょう!(笑)
自信満々に頷く
手拭: いやぁ、とんだ知ったかぶりでございますな。(笑)
手拭: で、結局、日本橋の魚河岸からさんまを仕入れてきて。(笑)
手拭: 『目黒の川のさんま』と偽って、殿様に出したそうでございます。(笑)
苦笑い
手拭: しかし、殿様は、そのさんまを一口食べると、こう仰いました。(驚)
手拭: うむ…このさんま、確かに美味い!(笑)
手拭: しかし、前に目黒で食したさんまには、及ばぬのう。(物足りなげ)
手拭: やはり、さんまは…
間を取る
手拭: 目黒の川に限る!(笑)
パン!と手を叩く音
手拭: と、まぁ、相変わらずでございますな。(笑)
手拭: いやぁ、知ったかぶりも、ここまでくると、一つの芸でございますな。(笑)
手拭: えぇ、えぇ。でございますから、皆様も、どうかお気をつけくださいませ。(笑)
手拭: 知ったかぶりは、時に人を惑わせ、そして笑いを誘う。(笑)
手拭: でも、やっぱり、美味しいさんまは、どこで食べても美味しいもんでございますな。(笑)
手拭: お後がよろしいようで。(笑)
深々と頭を下げる
拍手喝采

🎯 このコーナーの狙い

古典落語『目黒のさんま』の普遍的な面白さを踏まえつつ、現代の「目黒のさんま祭り」という要素を「知ったかぶり」の材料として織り交ぜることで、時代を超えた新たな笑いを創出します。人間が陥りやすい「知ったかぶり」というテーマを滑稽に描き、聴衆に共感と笑いを誘うことを狙います。古典落語の魅力を現代の視点で再構築し、幅広い層にアピールする実験的な試みです。

※ 本コンテンツはエンターテインメントおよび研究を目的とした創作台本です。実在の人物・団体とは関係ありません。

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