落語
DIYの果て
2026.04.18
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落語・一席
高座本編
空白:
えー、本日はお日柄もよく、
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皆様お揃いで、
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誠にありがとうございます(笑)
扇子を広げ、ゆっくりと顔の前で動かす
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わたくし空白、
空白:
この頃、
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世間で流行っておりまする
空白:
DIYというものに、
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少々、興味が湧きましてね(笑)
腕を組み、うーん、と考える仕草
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『自分で作れば愛着が湧く』
空白:
『既製品より安く上がる』
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なんて聞きますと、
空白:
つい、やってみたくなるのが
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人間の性というものでございましょう(笑)
軽く手を叩き、顔を上げる
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で、何を隠そう、
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私めも、簡単な棚一つくらいは
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作れるのではないかと、
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思い立ったわけでございますよ(笑)
ゆっくりと首を傾げる
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ところが、これがまた、
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想像以上に奥が深い、
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いや、底なし沼のような
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世界でございましてねぇ(泣)
ふう、とため息をつく
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まずは道具でございます。
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近所の大きなホームセンターへ
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足を運びましたら、
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これがもう、
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工具の洪水でございますよ(驚)
目を丸くする仕草
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ノコギリ一つとっても、
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両刃だの片刃だの、
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目立てがどうだのこうだの、
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さっぱり分かりませんでね(困)
空白:
ま、とりあえず、
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『これがあれば何でもできる』
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という店員さんの言葉を
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聞き流しましてね(笑)
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電動ドライバーに丸ノコ、
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水平器にクランプ、
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万力まで買い揃えましてね(笑)
レシートを見るように目を細める
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レジで合計金額を聞いた時には、
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思わず膝から崩れ落ちそうに
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なりましたよ(驚)
空白:
『こりゃ、棚どころか、
空白:
家一軒建つんじゃないか?』と(笑)
苦笑いを浮かべ、首を振る
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さて、いざ制作でございます。
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まずは材料をカットするのですが、
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真っ直ぐ切るのがこれまた至難の業(泣)
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丸ノコは暴れるし、
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木屑は舞い上がるしで、
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まるで戦場のようでございましたよ(怖)
腕を振り回すような仕草
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ようやく板を切り終え、
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組み立てに入りますと、
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今度はネジが言うことを聞かない(怒)
空白:
電動ドライバーのトルク調整を
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間違えまして、
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ネジの頭はなめるわ、
空白:
板は割れるわで、
空白:
もう、滅茶苦茶でございます(泣)
頭を抱える仕草
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説明書には『簡単』と
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書いてございましたが、
空白:
これは嘘でございますよ!(怒)
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『簡単』というのは、
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きっとプロの方向けの
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言葉なのでございましょう(笑)
ようやく、という感じで顔を上げる
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数時間の格闘の末、
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何とか形にはなりました。
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ええ、形には…(笑)
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しかし、これがまた、
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見るも無残な出来栄えでしてね(泣)
歪んだ棚を想像させるように手を広げる
空白:
左右の高さは違うわ、
空白:
板と板の間には隙間があるわ、
空白:
ネジは飛び出ているわで、
空白:
まるで現代アートの
空白:
オブジェでございますよ(笑)
妻が登場するのを想像させる
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出来上がった棚を、
空白:
妻に見せましたらね、
空白:
妻『あら、あなた、
空白:
何をなさっているの?』(驚)
空白:
と、目を丸くするではありませんか(笑)
空白:
空白(くうはく)『見てくれ、
空白:
私が作った棚だ!』(得意気)
空白:
妻『え…ええ、そうね、
空白:
これは確かに、
空白:
あなたが作ったとしか
空白:
思えないわね(笑)』
妻の言葉に苦笑する
空白:
妻『これじゃあ、
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本の背表紙も真っ直ぐに
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並ばないんじゃないかしら(笑)』
空白:
と、笑いながら言われましてね(泣)
扇子を閉じ、膝に置く
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結局、その棚は
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物置の隅で、
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工具置き場として
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ひっそりと余生を送っております(笑)
空白:
思えば、道具代と材料費で、
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ちゃんとした棚が三つは
空白:
買えた計算になりますからねぇ(泣)
空白:
それでも、
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自分で作ったという
空白:
達成感だけは、
空白:
確かにそこにございました(笑)
空白:
ええ、達成感だけは(笑)
聴衆を見渡し、にこやかに
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DIYの『D』は『努力』、
空白:
『I』は『意地』、
空白:
そして『Y』は…
空白:
『やっぱり既製品!』(笑)
一礼
空白:
お後がよろしいようで(笑)
🎯 このコーナーの狙い
このコーナーは、現代の身近なテーマである「DIY」を題材に、誰もが共感できる「あるある」な失敗談を、落語という古典芸能の形式に乗せて表現することを狙っています。特に、期待と現実のギャップから生まれる人間的な滑稽さ(道具集めに散財、不器用さ、開き直り)を笑いの核としました。古典落語における「幇間(たいこもち)」や「与太郎」のような、どこか間が抜けていて、世間に流されやすいキャラクター性を「空白」の「聞き流し」という性格と重ね合わせ、現代社会の消費行動や情報過多な状況への風刺も込めています。
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※ 本コンテンツはエンターテインメントおよび研究を目的とした創作台本です。実在の人物・団体とは関係ありません。
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