落語
髪結い処 下足
2026.03.09
閲覧数: 1,597
落語・一席
高座本編
控えめな拍手の中、高座に上がる。座布団に座り、扇子と手ぬぐいを膝元に置く。少し深呼吸。
下足:
えー、皆様、本日はようこそ
お運びくださいまして、(笑)」
下足:
まことにありがとうございます。(笑)
視線を客席に泳がせる。少し緊張した面持ち。
下足:
わたくし、座布団亭下足と申します。(笑)
下足:
師匠、極上の七番弟子でございまして、(笑)
下足:
まだまだ新米でございますが、(笑)
下足:
どうぞ、よろしくお願い申し上げます。(笑)
一礼。少し口元が引きつる。
下足:
えー、お題は『美容室』でございます。(笑)
下足:
皆様、美容室、行かれますでしょう?(笑)
下足:
わたくしもね、先日、
行ってまいりまして。(笑)」
下足:
ええ、もう、毎回ねぇ、(笑)
下足:
ある意味、大冒険でございます。(笑)
下足:
昔はね、床屋さん、髪結いさん、
なんて申しまして。(笑)」
下足:
職人さんのところで、黙って座ってれば、(笑)
下足:
ちょいと小粋な髪型にしてくれたもんですが。(笑)
下足:
今の美容室ときたら。(笑)
少し顔をしかめる。
下足:
予約の電話から緊張いたしますでしょう?(笑)
下足:
『はい、〇〇ヘアーです!』って、(笑)
下足:
向こうは元気いっぱいですから。(笑)
下足:
『あ、あの、下足と申しますが、(笑)
下足:
カットをお願いしたいのですが…(笑)』なんて、(笑)
下足:
声が小さくなっちゃって。(笑)
電話をかけるジェスチャー。
下足:
で、当日。(笑)
下足:
お洒落な店構えに、(笑)
下足:
入る前から気後れいたします。(笑)
下足:
ドアを開ければ、(笑)
下足:
『いらっしゃいませーっ!』って、(笑)
下足:
若くて眩しいお兄さんが、(笑)
下足:
眩しい笑顔で迎えてくれる。(笑)
手を振るジェスチャー。
下足:
荷物を預けて、案内されるのが、(笑)
下足:
鏡の前の特等席でございます。(笑)
下足:
そこからがもう、修行でございますよ。(笑)
下足:
まずはシャンプー。(笑)
下足:
あの、仰向けになって、(笑)
下足:
首がカクッとなるやつ。(笑)
首を傾ける仕草。
下足:
担当の先生がね。(笑)
下足:
『お湯加減、いかがですかー?(笑)』って。(笑)
下足:
『あ、はい、大丈夫です…(笑)』って。(笑)
下足:
普段、熱い風呂に入ってるもんですから、(笑)
下足:
もっと熱くてもいいんですが、(笑)
下足:
なんか言えない。(笑)
下足:
で、シャンプー中もね。(笑)
下足:
『お仕事は何されてるんですかー?(笑)』って。(笑)
下足:
聞かれますでしょう?(笑)
下足:
『あ、落語家、やってまして…(笑)』って。(笑)
下足:
答えると、(笑)
下足:
『へー!落語ですかー!(驚)』って、(笑)
下足:
ちょっと間が空く。(笑)
美容師の顔真似をする。
下足:
『えーっと…(笑)』って、(笑)
下足:
無理に話題を探してくれてるのが、(笑)
下足:
逆に申し訳ない。(笑)
下足:
『…面白いですか?(笑)』って。(笑)
下足:
聞かれましてね。(笑)
下足:
『面白い…と、思います…(笑)』って。(笑)
下足:
自信なさげに答える私。(笑)
困ったように首をすくめる。
下足:
やっとシャンプーが終わって、(笑)
下足:
カットに入ります。(笑)
下足:
『今日はどんな感じにしますかー?(笑)』って。(笑)
下足:
聞かれるでしょう?(笑)
下足:
で、スマホでね、(笑)
下足:
事前に探しておいた、(笑)
下足:
芸能人の写真を見せるわけですよ。(笑)
スマホを見せるジェスチャー。
下足:
『こんな感じでお願いします!(笑)』って。(笑)
下足:
すると先生、(笑)
下足:
『あー!いいですねー!(笑)』って。(笑)
下足:
爽やかな笑顔で、(笑)
下足:
『お似合いになりそう!(笑)』って言うんです。(笑)
下足:
もう、その言葉を信じるしかない。(笑)
目を閉じ、祈るような仕草。
下足:
チョキチョキ、ハサミの音が心地よい…(笑)
下足:
いや、心地よくない。(驚)
下足:
だんだん短くなっていく髪の毛と、(驚)
下足:
鏡に映る自分とのギャップに、(驚)
下足:
心がざわめく。(驚)
鏡を見るように顔を動かす。
下足:
『〇〇さん、普段、お洒落とかするんですかー?(笑)』って。(笑)
下足:
『え、あ、たまに…(笑)』って。(笑)
下足:
『〇〇さんの顔の形だと、(笑)』って、(笑)
下足:
『ここはもっと、(笑)』って、(笑)
下足:
もう、先生の独壇場。(驚)
下足:
私の意見は、もう、聞いてもらえない。(泣)
ハサミの音を真似る。
下足:
そして、いよいよ完成。(驚)
下足:
先生が、(笑)
下足:
『はい、いかがですかー?(笑)』って、(笑)
下足:
クルッと椅子を回してくれる。(笑)
椅子を回すジェスチャー。客席に背を向け、ゆっくり振り返る。
下足:
そこに映っていたのは…(驚)
下足:
紛れもなく私…なんですが、(驚)
下足:
なんか、知らない。(驚)
下足:
どこかで見たことあるような…(驚)
下足:
ああ、あれだ!(驚)
下足:
昔、流行った、(笑)
下足:
あの、マンガの主人公の…(笑)
下足:
なんか、ツンツンしたやつ!(笑)
自分の髪を触る。
下足:
『わ、若くなりましたねー!(笑)』って、(笑)
下足:
先生はキラキラした笑顔で言うんですが、(笑)
下足:
私は鏡の中の自分を見て、(泣)
下足:
『あ、あの、ありがとうございます…(笑)』って、(笑)
下足:
精一杯の笑顔を作ります。(笑)
無理やり笑顔を作る。
下足:
心の中では、(怒)
下足:
誰だこれ!私の注文はどこへ行った!(怒)
下足:
って、叫んでるんですが。(怒)
下足:
口からは、(笑)
下足:
『あ、はい、すごく良いです!(笑)』って。(笑)
下足:
嘘がでてしまう。(笑)
下足:
会計を済ませて、(笑)
下足:
『またお待ちしてますー!(笑)』って、(笑)
下足:
見送られて店を出る。(笑)
下足:
外の風が、(笑)
下足:
新しい髪型に吹き付ける。(笑)
外に出る仕草。風に吹かれる。
下足:
途端に、形が崩れる。(驚)
下足:
『あれ?(驚)』って、(笑)
下足:
ショーウィンドウに映る自分を見たら、(驚)
下足:
なんだか、いつもの私。(笑)
下足:
美容室で見た、(笑)
下足:
あのツンツンヘアは、(笑)
下足:
一体どこへ行ったんでしょうね。(笑)
扇子をたたみ、軽く頭をかく。
下足:
家に帰って、(笑)
下足:
妻に『ただいまー』って言ったら、(笑)
下足:
『あら、どちら様?(驚)』なんて言われまして。(笑)
下足:
もう、こんな調子でございます。(笑)
下足:
ええ、もう、次こそは、(笑)
下足:
注文通りに…(笑)
下足:
いや、もう、行かない方がいいのかも。(笑)
下足:
いやいや、また行ってしまうんでしょうね。(笑)
深く一礼。
下足:
お粗末様でございました。(笑)
🎯 このコーナーの狙い
このコーナーでは、現代社会に潜む「あるある」な日常の出来事を古典落語の形式で再構築し、聴衆の皆様に共感と普遍的な笑いをお届けすることを目指します。特に今回は、美容室という多くの人が経験する場所での「会話の苦痛」や「理想と現実のギャップ」を題材に、客の心の声と建前とのズレを滑稽に描くことで、思わず膝を打つような笑いを狙っております。古典落語における「髪結い」の文化とは異なる、現代のサービス業特有の人間模様を風刺する実験的な試みでもあります。
※ 本コンテンツはエンターテインメントおよび研究を目的とした創作台本です。実在の人物・団体とは関係ありません。
NEXT STEP
PR / 提携リンク
台本をさらに面白くする2大アプローチ
添削・指導
ココナラ
プロのお笑い構成作家にネタ添削を頼む
台本をコピペで渡すだけ!現役作家がセリフの間やオチを直接アドバイス(500円〜)。
🎁 無料会員登録で300円クーポン配布中
動画・研究
ABEMAプレミアム
最新賞レース&人気芸人の漫才を研究する
M-1特番や千鳥『チャンスの時間』等が見放題!一流芸人の呼吸・アドリブ力を学ぶ。
📺 初回無料トライアル実施中(期間中解約無料)