落語

湯呑の一席『値上げの波に乗って』

2026.06.27 閲覧数: 2,184
編集長コメント:演じ方のコツ
EDITOR'S NOTE

このネタは「間」の取り方とセリフの抑揚が特に重要な構成です。声に出してテンポを合わせ、ボケとツッコミの呼吸を意識して演じることで爆笑を生み出せます。

落語・一席
高座本編
前座の出囃子が鳴り止む
ゆっくりと高座に上がる湯呑
座布団に座り、扇子を膝に置く
湯呑: えー、本日はお日柄もよく、(笑)
湯呑: 皆様、ようこそお運びくださいました。(笑)
湯呑: 座布団亭、湯呑でございます。(笑)
湯呑: 師匠の極上からは、いつも、(笑)
湯呑: 『のほほんとしてるな』と、(笑)
湯呑: お褒めの言葉をいただいております。(笑)
一呼吸置く。お茶をすするような、ゆったりとした間
湯呑: さて、最近はですね、(笑)
湯呑: 世の中、色々とございまして。(笑)
湯呑: わたくし、先だってスーパーへ、(笑)
湯呑: お買い物に行った時のことでございます。(笑)
扇子を広げ、ゆっくりと畳む
湯呑: いつものように、牛乳を手に取りましてね。(笑)
湯呑: ええ、1リットルのパックでございます。(笑)
湯呑: 持ち上げた途端、どうも軽い。(驚)
湯呑: あれ? 賞味期限でも、(驚)
湯呑: 切れてるのかしら、と。(驚)
湯呑: よくよく見ますと、(驚)
湯呑: 『900ml』と書いてあるじゃあ、(驚)
湯呑: ございませんか。(驚)
ゆっくりと首を傾げる仕草
湯呑: ええ、いわゆる『ステルス値上げ』というやつで。(笑)
湯呑: わたくし、恥ずかしながら、(笑)
湯呑: その日初めてその言葉を知りました。(笑)
湯呑: これは一本取られましたなぁ、と。(笑)
苦笑いを浮かべる
湯呑: 隣にいたおばあちゃんが、(笑)
湯呑: これまた同じ牛乳を手に取って、(笑)
湯呑: あらやだ、湯呑さん。(驚)
湯呑: これもまた小さくなってるわねぇ。(嘆き)
湯呑: この前は卵が、(嘆き)
湯呑: 10個入りが8個になってたのよ。(怒)
湯呑: もう、泥棒と一緒だわ!(怒)
湯呑、困ったように眉を下げる
湯呑: いやいや、おばあちゃん、(笑)
湯呑: それは泥棒とはちょっと、(笑)
湯呑: 違うような気もしますけれど。(笑)
湯呑: でも、お気持ちはよくわかります。(笑)
小さく頷く
湯呑: わたくし、それ以来ですね、(笑)
湯呑: スーパーに行くたびに、(笑)
湯呑: まるで探偵のように、(笑)
湯呑: 商品の底値を探し回るようになりました。(笑)
キョロキョロと見回す仕草
湯呑: ある日は、お隣の駅まで足を延ばしまして。(笑)
湯呑: 『あそこのスーパーは特売が多い』と、(笑)
湯呑: 噂に聞きましてね。(笑)
湯呑: 意気揚々と出かけたわけでございます。(笑)
足取り軽く歩くような仕草
湯呑: ええ、目当ては食パンでございます。(笑)
湯呑: いつものパン屋さんより、(笑)
湯呑: 20円ばかりお安いと。(笑)
湯呑: これは行かねばなるまい、と。(決意)
パン!と手を叩く音
湯呑: 電車賃が片道160円。(汗)
湯呑: 往復で320円でございます。(汗)
湯呑: 食パンは20円お安く買えましたが、(泣)
湯呑: 差し引き300円の赤字でございます。(泣)
がっくりと肩を落とす仕草
湯呑: これはもう、底値チェックとは言えませんなぁ。(嘆き)
湯呑: ただの遠足になってしまいました。(笑)
湯呑: 家に戻って、買ってきた食パンを、(笑)
湯呑: トーストにしようと袋を開けますと、(笑)
湯呑: あれ? なんだか薄いような。(驚)
食パンを手に取る仕草
湯呑: よく見ますと、(驚)
湯呑: 8枚切りなのに、(驚)
湯呑: いつもより一枚一枚が、(驚)
湯呑: ペラペラでございまして。(驚)
湯呑: これではまるで、(笑)
湯呑: 障子の紙でございますなぁ。(笑)
扇子を顔の前でパタパタと扇ぐ仕草
湯呑: 結局、一枚多く食べたところで、(笑)
湯呑: いつもの満足感には及ばず。(嘆き)
湯呑: ああ、値上げの波は、(嘆き)
湯呑: こんなところにも忍び寄るのかと。(嘆き)
遠い目をする
湯呑: 世の中、なかなか厳しいもんでございます。(笑)
湯呑: しかし、わたくしは負けませんぞ。(決意)
湯呑: これからも、のほほんと、(笑)
湯呑: 底値を追い求め続ける所存でございます。(笑)
湯呑: 皆様もどうぞ、(笑)
湯呑: お買い物の際は、お気をつけくださいませ。(笑)
ゆっくりと頭を下げる
膝に置いた扇子を手に取り、静かに高座を下りる

🎯 このコーナーの狙い

このコーナーは、現代社会の共通の悩みである「値上げ」をテーマに、聴衆が日常で感じる「あるある」を落語という伝統芸能で表現し、共感と笑いを誘うことを狙っています。のほほんとした湯呑のキャラクターを通して、シビアな現実を柔らかく、そして滑稽に描き出すことで、古典落語の「時事ネタ」や「滑稽話」の現代版として、幅広い層に楽しんでもらうことを実験するポイントです。

※ 本コンテンツはエンターテインメントおよび研究を目的とした創作台本です。実在の人物・団体とは関係ありません。

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